“創造性”のある組織内弁護士になる5つのアイデア―創造性の科学



クリエイティブ/創造性のある弁護士

新年あけましておめでとうございます。

本ノートは、2019年11月30日刊行の日本認知科学会『創造性はどこからくるか:潜在処理、外的資源、身体性から考える (越境する認知科学シリーズ2)』(新しいタブで開きます)の認知科学の研究成果のとりまとめに準拠した5つの「創造性」を高めるアイデアです。

創造性=突発性&特殊能力という従来の誤解や固定観念から1歩進んで、自らの創造性を高める5つの工夫です。

従来の創造性に関する固定概念

従来、「創造性」は「突然発揮される」「卓越した才能」など一種の天才的な能力として語られてきました。確かに、創造性と聞くと、何か神秘的な、デザイナー、アーティスト、起業家、発明家などが持った卓越したイメージがあります。

また、私達(普通の人)も、上記の卓越者と比較するように、「私は創造性(クリエイティブさ)がない」「もともと創造性に欠ける」などと考えている節があります。

しかし、近年の認知科学と関連分野の研究の蓄積からは「創造性の正体が明らかになりつつある」(はしがき5頁)のです。

創造性とは?

結論から言えば、ここだけの話、創造性は突然降って湧いてくる啓示・神託ではありません。

研究によれば、創造性のひらめきの突発性は「ランダムに外部からアイデアを受信するからではなく、潜在処理(注:無意識)として無自覚に進む自身の思考の変化に気づくことで起こる」のです。ここでのポイントは「無意識=潜在処理」「外部」「無自覚に進む自身の思考の変化」です。

外部からの刺激がきっかけに創造的思考に作用するため、逆に言えば、助けなく外部の手を借りず、完全な独創を果たすことはできないというのが研究の到達点のようです。

5つのアイデア=創造性を高める「外的資源」(環境や他者の助け)

外部資源① 天井の高い部屋で作業

天井が高い部屋(オフィス)の方が天井の低い部屋(オフィス)よりも創造性が高まるというMeyers-Levy & Zhu (2007)の研究。何も自宅や職場を改築する必要はなく、創造的なアイデアを錬るときは、天井が高い場所(吹き抜け)を探して、時間を過ごしてみるのはいかがでしょうか。

確かに、私事ですが、Airbnb本社の突き抜けるような吹き抜けの1階(上記参照、天井はガラス)にいるときにアイデアが浮かんだことがあった気がします。

外部資源② 屋内より屋外で作業

閉鎖的な空間よりは、開放的な空間(例えば屋外)がより作業環境としては良さそうです。アイデアを煮詰めるために、お散歩したり、ルーフトップで仕事する応用ができそうです。Leung, Kim, Polman, Ong, Qin, Goncalo & Sanchez-Burks (2012)の研究。

外部資源③ 整理整頓された環境よりも乱雑さ

Vohs, Redden & Rahinel (2013)の研究。乱雑とした作業環境にいた実験参加者の方が、整然とした環境にいた実験参加者よりも高い創造性を発揮したとのこと。

外部資源④ 静謐さよりも騒々しさ

Mehta, Zhu & Cheema (2012)の研究。③の視覚的な乱雑さだけではなく、聴覚的な乱雑さによる寄与もあるとのこと。

図書館の静けさと同レベルの42dB(デシベル)などと比較して、最も好成績だったのは70dBの作業環境。これは、ちょうど、やや騒々しいオフィスやレストランなど意識して声を出さないと声が出しにくい状況とのこと。

なお、パチンコ店内の如き85dBでの創造性の成績はあまりよくなかった模様。

適度な騒音が細かいことや具体的情報へのこだわりから離れさせ、全体的・抽象的な思考をするように仕向ける効果をもっています。

外部資源⑤ 経験的に誰もが納得「スマホ」は邪魔な存在

Ward, Duke, Gneezy & Bos (2017)の研究。作業している際にスマートフォンの存在を感じるだけで私達の作業記憶と流動性知能のパフォーマンスは低下するようです。以下のどの環境がもっとも創造性を「阻害」するでしょうか

条件A 机上にスマートフォンをおいておく

条件B ポケットやかばんにしまう。

条件C 別室に預ける。

お察しの通り、創造性の成績が悪かった順に(悪)A→B→C(良)となります。なお、電源の「オン・オフ」にかかわらず、手元にスマホがあるだけで成績が低下したと報告されています。クリエイティブなメモやブレストの際には、スマホをロッカーにOFFにして入れてしまっても良いかもしれません。

書籍にも取り上げられていた創造性をMAXに高めるはこだて未来大学のスタジオ

最後に:創造性の指針―失敗を恐れずに愚直に自ら行動し体験する

最後に、同書は、「心」と「外部環境」をつなぐ「身体」の相互作用のバランスやパターンを変えて新しい着眼点の契機を与えてくれることの重要性を説明しつつ、下記の通り、著者らは提言します。

失敗を恐れずに愚直に自ら行動し体験すること

日本認知科学会『創造性はどこからくるか:潜在処理、外的資源、身体性から考える (越境する認知科学シリーズ2)』(新しいタブで開きます)

どこか聞き覚えがあることですが、創造性は自らより適切な外部環境を整備し、創造性を阻害する方向に意識的に進んでいかないことで、豊かな創造性を養えるといえます。

他者との協働を通じ、初期の誤った制約の解消をひたすら続けること(突発性ではなく斬新性)で創造性が発揮されていくことになるという指針が見えてきます。皆様のお役に立てば幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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