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ロボアドバイザーに対する米国SECの制裁金(伝統サービスとテクノロジー)

*このコーナー(投稿)は、将来、論文・プレゼンテーション・会議・報告書・国内外の上司・同僚との会話に利用できそうな有意義な定義・データ・リンクを短くまとめたものです*



FinTechの会社に務める友人「うちも最近ロボアドバイザー(ロボアド)のサービスをはじめたんだよね。」

あなた「ロボアドってなんだい?」

ロボアドバイザー

今回は「金融・証券」関連(日本組織内弁護士協会で言えば第2部会)の方と話すときに役立ちそうな引き出しの1つを共有します。

ロボアドバイザーとは、一般的に、パソコンやスマホから自分に最適な投資信託や資産運用のアドバイスをしてくれるシステムをいいます。下記のようなサービスが有名です。

マネとも!「【2019年1月版】ロボアドバイザーを比較してわかった1番おすすめはこれだ」より(2019年1月20日最終確認)。なお、上記のデータについては独自の検証をおこなっておらず、各サービスを本記事において推奨するものではありません。

ロボアドの規制の最初の引き出し

SECの制裁金賦課に見える伝統的サービス vs テクノロジーサービス

金融商品取引法の実務家としても高名な大崎貞和先生によれば、ロボアドも、伝統的な投資顧問・投資一任運用サービス同様に、1940年投資顧問業法に基づく規制と米国証券取引委員会(SEC)の監督に服しているとのことです。2017年2月には、ガイダンス(解釈指針)を公表しています(深掘り参照)。

今回問題となったウェルスフロント事件及びヘッジャブル事件については、「提供する情報の正確性や誇大表示」が問題となっていたようです。

Technology is rapidly changing the way investment advisers are able to advertise and deliver their services to clients,” said C. Dabney O’Riordan, Chief of the SEC Enforcement Division’s Asset Management Unit.  “Regardless of their format, however, all advisers must take seriously their obligations to comply with the securities laws, which were put in place to protect investors.” 

深掘り資料2参照

SECは上記の通り、「テクノロジーであろうが関係ない、しっかり投資家保護をしてほしい」という趣旨のコメントを掲載しております。

弁護士業務をテクノロジーに置き換えたとしても

ふと、弁護士業務がロボやテクノロジーに一部置き換えられた場合の責任の検討、という論点が頭の中に浮かびました。

上記のSECコメントの通り、テクノロジーというフォーマットであるか否かを問わず投資家保護を図る証券法を遵守するために義務を果たすことが重要である、という点は、証券に限られず、他の伝統的な産業をテクノロジーに置き換えた場合であっても、既存の規制される側からは良く持ち出される論証です。

例えば、弁護士がデューデリや契約書作成の一部をAIのアシストに任せたりした場合、「依頼者保護を図る弁護士法を遵守するために義務を果たすことが重要」と弁護士会が唱えた場合に、そのサービスは法令を遵守しさらに法律上の義務であるかは別として既存の伝統的サービス側からの要請に答えているのか、二段階での検討が必要になると思われます。

「提供する情報の正確性や誇大表示」をリーガルテックが果たしているのか、今後、サービスを提供する側・提供を受ける側双方で目を光らせる必要がありそうです。

深掘り資料


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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