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法務エレベーターピッチ「TikTok(ティックトック)」その(1)―超巨大ユニコーン出現

*このコーナー(投稿)は、将来、論文・プレゼンテーション・会議・報告書・国内外の上司・同僚との会話に利用できそうな有意義な定義・データ・リンクを短くまとめたものです*


Photo by Joe Scarnici/Getty Images

法務部門の管理職「正月休みのときに、中学生の息子が従兄弟と一緒に部屋で騒いでるからなにかと思ったら、中国の最近はやりの動画共有サイト(ティックなんとか?)に踊っているショートムービーをアップロードしていて、いろいろ考えさせられたよ。」

あなた「私の小学校の姪っ子も、その中国のアプリTikTok(ティックトック)にハマっているみたいで、お正月に帰省したときにいろいろと動画を見せてくれました。

ところで、部長、世界のユニコーン企業のうち、時価総額が1番大きい会社ご存知ですか?」

参考記事:2019/1/1付 日本経済新聞 朝刊

法務部門の管理職「それは、当然、Uber(ウーバー)でしょう。」

あなた「部長、残念ながら、不正解です。実は、息子さんが踊っているTikTokを運営する中華人民共和国のバイトダンス(Bytedance)社です。TikTokの日本法人(東京都新宿区西新宿に所在)もあります。

米国調査会社CBインサイツによれば、2018年11月に、Uber(720億ドル)を抜き、バイトダンス社の時価総額は750億ドルの評価額(首位)となっています。繰り返しますが、これは世界第一位です。」

あなた「ユニコーンは、2018年12月10日時点で、世界に292社。米国に150社、中国に88社となっています。他方で、米国の景気拡大局面に不透明感も増しており、18年のナスダック総合指数(NASDAQ Composite Index)は最高値から19%下落となり、S&P500種株価指数(S&P500, Standard & Poor’s 500 Stock Index)の同15%よりも大きく、新興企業への資金流入がこれまで通り順調ではないことも示唆されています。」

参考記事:2019/1/1付 日本経済新聞 朝刊
バイトダンス社は2012年設立、積極的な音楽や動画配信アプリのM&Aを繰り広げ、今に至ります。

法務部門の管理職「まさか。知らなかったよ。ただ、スマホに表示される広告なんかを見ていると、一般人の未成年が、かわいらしいダンスを踊ったり、投げキスをしていたり、ちょっといかがわしいというか、近々、青少年の問題で火をふくんじゃないかね。」

あなた「そう決めつけるのは早計かもしれません。TikTokも矢継ぎ早に対策を打ち出しています。

例えばBytedance執行役員・公共政策本部長の山口琢也氏は、元Facebookの公共政策本部長で、業界からは尊敬を集める実力とパッションのある公共政策パーソンと聞いています。

おそらくFacebook時代に構築した日本の青少年対策のネットワークも駆使して、より安心・安全なプラットフォームを構築されているのではないでしょうか。

2018年11月30日には、「TikTokセーフティーセンター開設記念・第1回TikTok Japanセーフティパートナーカウンシル」を開催していたようで、青少年の健全育成に関わるNGOや学識経験者との連携を図って安心安全の対策をアピールしているようで大変勉強になります。」

(その2投稿に続く―次は法務部門の分析です。リンクは深掘り資料の下です。)

深掘り資料:

  1. Bytedance株式会社のプレスリリース一覧
    1. 解説:外資系の日本法人は独自のプレスリリースウェブサイトがないため、往々にして小さいうちは、PR Timesを活用することが多いので要チェック。
  2. Senior Legal Counsel(日本)のJobが公開中のようです【TikTokの法務部門分析は明日の投稿を御覧ください】

ディスラプションその先に(1) ユニコーン増殖続くか 
世界300社100兆円規模 マネー変調、選別圧力も 
2019/1/1付 日本経済新聞 朝刊

次号はTikTokの法務部門の戦力に迫ります

http://inhouselaw.org/inhouse/archives/317


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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