法務がGoogle for Jobsの日本ローンチを見てすること

mountain view: exterior view of a google headquarters building (2014/123RF)

求人広告は新たな競争時代へ

日本経済新聞の記事によれば、Google社が2019年に求人広告関連事業に参入。12月28日にはこれを受けてリクルート社(indeedの親会社である)の株価は一時6%安、エン・ジャパンも一時7%安、パーソルHDにも前日比130円安(8%安)と求人関連事業の各社に連想売りが入りました。

2018年12月29日 日本経済新聞 朝刊

法務部門も学んでおきたいGoogle for Jobsとは?

Google社の新サービス(正確には米国ではローンチされており日本では未ローンチ)はどのようなものなのでしょうか。求人サイトや企業の利用は「無料」とされていますが、職を探すユーザにはどのような点で革新的なのでしょうか。

(Google for Jobsは)あなたのニーズに合ったポジション、あなたの性格やライフスタイルに合った会社の仕事、あなたの家族や日常生活に影響を与えることなく通勤や移転が可能な身近な雇用主をGoogleが探しますというのです。
Googleは上記の職務内容には含まれていないような個人的な「基準」を重要視しているとのこと。
多くの求人情報は会社の宣伝や業務内容など「雇用側の視点」をあなたに押し付けるばかりです。そこで発想を変えて「あなたの視点」から相応しい仕事を見つけられるようにする、そのために検索エンジンを使ったマッチングを行おうというのです。

新発表[Google for Jobs」グーグル フォア ジョブズとは?日本でのリリースはまだ?

このように、従来は、雇用する側(企業)が提供する情報は必ずしも仕事を探す側に最適化された情報ではありませんでした。下記Google社の紹介動画に登場する「近所の仕事を探したい」というニーズにそって、雇用する側が情報を整理するわけではないからです。この点、伝統的には、この情報整理を求人関連事業の会社が行っていたわけですが、動画に登場するような「Google Mapと連動して通勤先までの通勤時間を計算して教えてくれる」などの様々な拾われてこなかったニーズを満たす機能が実装されていると思われます。

組織内弁護士のWeb系新サービスの調査方法

  • 新サービスを見たら調査・分析して鍛える

IT系の法務部門・組織内弁護士は、競合他社(であるか否かを問わず)、新しいサービスが出た場合には、どのようなサービスなのかをクイックにチェックして、サービスの概要を調査し、そのうえで、時間があれば、自らの法務案件と仮定して10分ほど法務リスクを検討してみると、新規事業への法務アドバイスの基礎力がつきます。

  • 新サービスを効率的に把握・調査する

米国のインターネットサービス事業会社で働く組織内弁護士として新サービスを調査したい場合に必ずおすすめしたいのが、当該会社が出しているプロモーションビデオの閲覧です。

YouTubeのブランドページなどで公表されています。また、プレスリリースや新しい会社サービスのランディングページがあれば、大抵、動画によるプロモーションが提供されています。

なぜ動画が重要かと言うとその数分の動画の中に、その会社が新サービスについて「コア」が十二分にこめられているからです。

外部法律事務所の弁護士時代には想像できませんでしたが、これらのプロモーション動画の制作には、事業部やブランドチームや広報(もちろん法務も)含めて途方もない時間がかけられていることがほとんです。

この事実を知っていれば、法律事務所で働いていても、組織内弁護士として働いても、「新しいサービス」の調査が必要になった際に、最もコアに接近できる調査手法を見つけることができます。

Google for Jobsのプロモーション動画

では早速ですが、Google for Jobsの動画を見てみましょう。

法務部門向けのさらなる研究用資料

  1. Google for Jobsのわかりやすいまとめ
  2. 2012年09月25日付「米国Indeed Inc.の株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ」(株式会社リクルート)
  3. Josh Bersin Josh Bersin “Google For Jobs: Potential To Disrupt The $200 Billion Recruiting Industry”

法務部門のTips

若手組織内弁護士・法務部員は人事・財務の仕事に早く手をあげて職域拡大を

職域がガチガチに固められていない法務部では、ある程度、手をあげて他の法務部門の人の仕事を手伝ったり、自らその案件をとることができます。

その際、私が常々シニアなメンターからアドバイスを受けていたのは「人事(採用含む)と法務」の案件を取りに行って、両部門からの信頼を得る、というものでした。

当時なぜこのようなアドバイスを頂いたのか腹落ちしていなかったのですが、今はよくわかります。なぜなら、人事案件と財務案件は、会社の最新動向を反映し、かつ、守秘性が高いものも多く、経営陣や法務役職者との連携ポイントが必然的に増えるからです。

なぜ「採用」に関する新しい業界の動きは法務部門に重要か?

ベン・W・ハイネマンJr『企業法務革命―ジェネラル・カウンセルの挑戦―』(商事法務、2018年)によれば、ジェネラルカウンセルは細々した業務をこなすのではなく、創造的な業務遂行ができる極めて優秀な同僚や代理人を確保することを優先すべきであると考えられています。

すなわち、「最高を雇うこと」による強力なネットワークを創り上げることの重要性を説いている。ジェネラルカウンセルは、ビジョンをもって、会社にとって真に基本的または基礎的な課題をイニシアティブをとって検討する必要があると言われています(486頁)。

人事部門・タレント(採用)部門は、法務部門のかけがいのないパートナーであり、次の昼食や会議の際には、そっと、このGoogle for Jobsの話題を振ってみてはいかがでしょうか。より深い知見やあなたが法部部門として人事部門の最新の話題にも関心をもっていることを示せると思われます。

求人・採用は会社にとって切り離せない側面であり、大きな時代の変化を知ることが、「パートナー機能」を果たす第1歩になるといえるでしょう。

(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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