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Build Belongingトレーニングでの学び

IT系外資系企業(Airbnb)の研修・トレーニングには敬意を覚える

Belongingを学ぶ旅は、新しい語学の勉強に似ている。失敗を重ねて、徐々に上手になっていく。

Build Belongingの講師

私がIT系外資系企業(Airbnb)に入って、マネジャー・全社員対象の研修などを色々と受講してきました。また、法務として、研修の作成やレビューも行っています。私が狭い範囲で聞く限りに置いてIT系外資系企業の研修への投資は本当に多大な学ぶべきものがあると思っています。

とりわけ「心理的安全性」や「ダイバーシティ(今回はBelonging)」などの研修については、外部専門家や外部トレーニングプログラムも上手く取り入れた研修は、気が付かなかったバイアスや盲点を教えてくれ、人間なら誰もが持っている欠点や独自の認知を修正する機会を与えてくれます。手厚く、人間性を豊かにするため、そして強いチームを作るための研修への投資(インベストメント)に敬意をもっています。

今回の学び

今回、アジア・米国・南米の同僚と小さなチームに分かれて議論した中で、1つ面白い研修用の架空事例に出会いました。

(すごく簡単に要約)ある日、部長が、あなたに大きなプロジェクトを任せたいという相談がありました。その理由を尋ねたところ、部長は、「(本来お願いするはずだった)彼女には子供がいる。他方、あなたには子供がいないからだ。」と言いました。【研修用の架空事例であり、研修資料にも題材は架空で、あなたの気持ちを落ち込ませる可能性がありますとの注意書きがあった上で提示されています。】

皆様は、部長に対して、どのようなことを感じ、どのような行動をとりますか?

  • なんて部長だ、誤りを正さなきゃ!と思った方。ひどい!と思われた方も入ると思います。
  • まてよ、部長はもしかしたらこの女性としっかりと話した上で、あなたに相談に来ている可能性はないか?と考えたかたもいるかもしれません。
  • 逆に、部長はもしかして、何かバイアスや悪意があるわけでなく、察して、その女性に負担をかけないように気遣いをしているのではないか、という考えも浮かびます。

私も色々考えが多方面から浮かび、同僚とディスカッションをする中で、様々な視点や、自分が勝手に決めつけていたことに気が付きました。

Airbnbではなかなか想像できませんが、これが法律事務所のパートナーが「子供がいないあなただから、パートナーの推薦を今年パートナー会議に上げたいから、書類提出してくれ」と言われたら自分はどうするだろうか。Speak Upするのか、逆に、本来能力的に先に昇進するはずだった女性からお鉢がまわってきたと黙って従うだろうか。

私は恥ずかしながらチームに質問をしてみました。「一つみんなの考えを聞いてもいいかな。人間だったら誰しも厳しい競争の中で、例えば、これがうちの会社ではない法律事務所とかさらに厳しい生存競争の組織だったら、変な話かもだけど、自分が出世したいと思って、黙ってこの話に乗ってしまうというような誘惑を考慮する必要はないかな。仮に競争に追われていたら、目の前の毒リンゴを食べてしまうような状況にならないだろうか。変なこといってたらごめん。」

すると、チームのみんなからは、批判ではなく、「たしかに、実際にこの立場になってみたら、人間として自分や自分の家族の利益を優先したくなるかも」との声があがり、その視点で改めて問題を検討してみました。

最後にチームでまとまった考えとして、私は腹落ちしたのは次の考えです。

  1. 個人が、競争戦略として黙ってこの誘いにのるということは、個々の極限的・場面的においては競争に勝ったように見える。
  2. しかし、この上司のバイアスや取扱いが続くと仮定すれば(誤りだと思ってないので)、真に能力があるメンバーが昇進やチャンスをあたえられない。結果、組織全体としてBestな最優秀の人材がリーダーから漏れていくことが続いていく。これは組織全体をゆっくりと腐食させ、もっと広い企業間の競争で見れば、競争に負ける環境を作ることになる。
  3. そして、誰もがいつでも子供をもつことになる場合もある(実子にせよ養子にせよ)。だとすると、真に強い企業としては、この不合理な取扱に対してきちんと働きかけることが重要に思える。
  4. なお、現実は難しいかもしれない、だけども、働きかけることが重要という心が正しければ、正しいゴールにたどりつける。

建前論だけでなく、脆弱性をきちんとお互いさらけだし、こういう議論ができる心理的安全性があることに感謝した瞬間でした。皆様はどう思われますか?


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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